早戸川原因究明事業の調査報告(中間)

ページID1002623  更新日 2022年4月7日

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市は、市第2次環境基本計画の重点施策である「早戸川水質改善事業」に基づき、早戸川の汚濁原因を究明するための詳細調査等に取り組んでおり、これまで実施してきた調査結果等について以下に報告します。

平成28年度から実施した調査

  1. 毎月行う水質検査の調査地点の追加
  2. 早戸川を実際に職員が歩いて調査する実態調査
  3. 時間帯ごとの水質の変化をモニタリングする通日調査

平成28年度から上記3つの調査を実施したことにより、BODが高く検出される地点について把握することができましたが、BODが高く検出される原因については分かりませんでした。

平成30年度から実施した調査

  1. BODの詳細調査として、N-BOD、C-BODの測定
  2. 窒素の詳細調査として、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素の測定

平成30年度からBODの上昇原因を調べるため、毎月の水質測定の項目に上記の詳細調査を追加して実施し、これらの調査を実施することにより、BODが上昇する原因を調査しました。

BODの詳細調査

BODの詳細調査の結果から、早戸川のBODに占める割合にはN-BOD※1(窒素由来)の割合が大きく、おさえん川についてはC-BOD※2(有機物由来)の割合が大きいことが下記グラフより分かります。この調査結果から、早戸川の小高橋地点のBOD上昇原因は窒素由来であることが分かりました。

  • ※1 N-BOD・・・アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素の硝化反応※3による酸素消費量
  • ※2 C-BOD・・・有機物の分解に伴う酸素消費量
  • ※3 硝化反応・・・水中の窒素を処理する過程のうちアンモニアや亜硝酸を経由して硝酸まで酸化する反応

グラフ:早戸川・おさえん川BOD詳細※平成30年10月の早戸川流入地点(おさえん川)についてはBOD詳細調査を実施していない

窒素含有量の推移

早戸川のBOD上昇原因はN-BODによることが分かったため、窒素の詳細調査としてアンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素の測定を実施しました。

下記グラフより、BODの増減に伴ってアンモニア性窒素と硝酸性窒素が増減していることが分かります。アンモニア性窒素は、事業所が排出する工場排水であったり、下水道などの大規模な汚水処理施設が排出する排水に多く含有しています。

BODが高く検出されている際に、アンモニア性窒素や硝酸性窒素が高く検出されていることから、アンモニアや亜硝酸が酸化されて硝酸になる硝化反応が働いていると推測できます。

グラフ:窒素含有量測定地点別推移(令和元年10月)

小高橋地点のBOD上昇原因

近年では、小高橋地点より上流の津田橋上地点でBODが高く検出される傾向がありますが、現在も小高橋地点ではBODが環境基準値を超過しています。これまでに実施したBODや窒素の詳細調査の結果から、小高橋地点でBODが上昇する原因について環境政策課では以下の推測をします。

1.早戸川にはアンモニア性窒素や亜硝酸性窒素含有量の多い水が流れている

早戸川には、複数の流域事業所による排水が大量に流入しています。それぞれの事業所の排水基準は守られていますが、複数の事業所の排水が大量に流入することで、アンモニア性窒素や亜硝酸性窒素が高くなっていると考えられます。

2.早戸川に設置している堰により酸素が取り込まれている

早戸川には複数の堰があり、堰は水を一旦落とし込むことで川の流れを和らげる役割があります。汚濁が進んでいる河川では一般的に酸素の量(DO)が低くなりますが、早戸川は酸素の量(DO)が高く検出されています。これは、堰の落とし込みによって河川水中に酸素が取り込まれていると考えられます。

3.早戸川の小高橋地点は硝化に適した条件である

河川水にアンモニア性窒素や亜硝酸性窒素が多く含まれている場合、川の自浄作用によって河川に生息する硝化細菌が、アンモニアや亜硝酸を分解しようとして硝化反応が起きます。硝化反応には酸素が必要であり、酸素は堰で取り込まれます。小高橋地点は硝化に適した条件であると考えられます。

これからの早戸川原因究明事業

汚濁の原因がアンモニア性窒素や亜硝酸性窒素などの窒素の影響であることが分かってきましたが、市が実施した実態調査から早戸川の川底には汚泥が多くたい積されていることを確認しました。汚泥は支流であるおさえん川(家庭から排出される生活排水が多く流入している河川)から多く流入していました。支流であるおさえん川から流入した汚泥が、早戸川の硝化反応に起因しているかについては分かっていませんが、汚泥は河川を汚濁する要因の1つとしては考えられます。

市では今後、早戸川の水質調査地点を細分化し、汚濁がされやすい地点とされにくい地点を把握する調査の計画をしています。この調査を実施することで、汚泥等が与える影響や汚濁のメカニズムを引き続き調査することとします。

早戸川・おさえん川流域にお住いの市民の皆さまや、流域事業所の皆さまにおかれましては、早戸川の水質改善のためそれぞれが行うことのできる適切な排水処理に努めていただくことをお願いします。

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