令和3年度 ひたちなか市施政方針

ページID1001639  更新日 2022年1月6日

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大谷明市長は、令和3年ひたちなか市議会3月定例会の開会(令和3年3月3日)に当たり、令和3年度の市政運営に関する所信を表明しました。ひたちなか市施政方針の全文を掲載します。

6つの施策の柱

  1. 市民の安全安心な暮らしを守るまちづくり
  2. 生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくり
  3. 子育て世代に選ばれるまちづくり
  4. 地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくり
  5. 快適で機能的な住みよいまちづくり
  6. 市民とともに知恵と力を合わせたまちづくり

令和3年度 ひたちなか市施政方針

令和3年第2回ひたちなか市議会3月定例会の開催に当たり、提案いたしました議案などの説明に先立ちまして、市政運営に関する所信の一端を申し上げ、市民並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに、新型コロナウイルスの感染拡大防止にご協力いただいている市民の皆様、人々の健康と命を守るために医療や福祉の最前線で日夜献身的にご尽力いただいている皆様、そして市民生活を支える仕事に従事されている全ての方々に、心から感謝申し上げます。

この1年を振り返りますと、新型コロナウイルスという見えない敵との戦いに奔走した年でありました。昨年1月に国内で初の感染者が確認され、今なお収束の時期を見通すことができない状況が続いております。国内経済にも大きな影響を及ぼしており、令和2年4月から6月期のGDPは、戦後最大の落ち込みとなりました。

本市におきましても、感染拡大防止のため、小中学校の休校、ひたちなか祭りや成人の集い、勝田全国マラソン大会といった大型イベントの中止など、苦渋の決断を迫られる事態が続きました。

また、市民生活や市内経済への影響を緩和するため、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などを活用し、関係各所と連携しながら、学校などでの感染症対策や、新型コロナウイルスの影響により業績が悪化した事業者への支援など、スピード感をもって対応してまいりました。現在、国や県、関係団体等と連携しながら、ワクチン接種に向けて準備を進めているところです。

今なお猛威を振るっている新型コロナウイルスから市民の健康と生活を守るため、刻一刻と変化する情勢に合わせた臨機応変な対応を引き続き行ってまいります。

さて、我が国が直面している課題に目を向けますと、少子高齢化が急速に進行するとともに、これまでにない人口減少局面に突入しております。

総務省が公表した令和元年の人口推計によると、我が国の総人口は、平成23年以降9年連続で減少しており、減少率も過去最大となりました。出生数は、令和元年に初めて90万人を割り込んで86万人台となり、「86万ショック」と危機感を持って受け止められました。令和2年においても、出生数の減少傾向は依然として続いており、令和元年を下回る見通しです。

社会動態についても、令和元年の東京圏への転入超過数は14万人を超えています。令和2年においては、新型コロナウイルスなどの影響により、東京都では転出の増加が見られるものの、東京圏への転入超過数は10万人を超える見込みであり、東京圏一極集中の傾向はいまだ続いている状況です。

本市においても、令和元年の出生数が前年より約100人減少して、1,100人を割り込んだことに加え、令和2年の高齢化率が過去最高の26.2%となるなど、確実に少子高齢化が進行しております。

また、若年女性を中心に東京圏への人口流出が続いており、本市は合計特殊出生率が県内でも高水準で推移しているのにもかかわらず、出生数が減少している一つの要因になっていると考えられます。

生産年齢人口の減少も進んでおり、今後、市税収入の減少や社会保障関連経費の増加など、財政面での影響はもちろんのこと、支え合いや地域の活力の低下なども懸念されます。

このような状況の中でも、未来に向けて発展し続けられるまちとなるよう、本市の価値をさらに高めていくための政策に力を入れて取り組んでまいりました。

子育て世代のニーズに応え、0歳児から2歳児までの受入を行う小規模保育所の開設や、那珂市との病児保育施設の相互利用協定締結など、保護者が働きやすい環境づくりに努めてきたところです。

本市初の義務教育学校「美乃浜学園」につきましては、地域の皆様の声を聴きながら、開校に向けた準備を進めてまいりました。本年4月の開校後は、義務教育学校だからこそ可能となる、特色ある学校教育を実現し、地域住民の思いを受け継ぎながら本市の未来を担う人材を育ててまいります。

去る1月15日には、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸事業許可を取得いたしました。これは延伸の実現に向けた大きな一歩であり、沿線地域はもとより、本市全体の活性化につながることが大いに期待される事業であると考えております。令和3年度におきましては、ひたちなか海浜鉄道とともに、延伸ルート全体を対象とした工事施行認可取得に向けて取り組んでまいります。

また、湊線の終着駅建設予定地が位置するひたちなか地区は、産業ゾーンにおいて新規工業用地の確保を検討している場所でもあるため、本市発展の要の地区として更なる活性化を図ってまいります。

来たる令和3年度は、今後5年間の市政運営の礎となる第3次総合計画後期基本計画開始の年となります。後期基本計画は、誰一人取り残さない社会の実現を目指すSDGsとの関連を明確にするとともに、「第2期ひたちなか市まち・ひと・しごと総合戦略」と一体的に策定いたしました。

策定にあたっては、アンケートやグループインタビューなどによる調査結果を基に多角的な分析を行い、重点テーマとして「令和7年における、総人口15万人の維持」という目標を掲げました。

その目標を達成するため、より効果的なアプローチとして新たに4つの重点プロジェクトを設定し、子育て世代、若年女性の移住・定住やUIJターンの促進を図るとともに、まちへの誇りや愛着、共感を持ち、自発的にまちを良くしようとする気持ちである「シビックプライド」の醸成を図ってまいります。

新型コロナウイルスの感染拡大により、社会の在り方や人々の生活様式は大きな変化を余儀なくされました。一方で、こうした社会の変容により、首都圏在住の若者の地方移住意向が高まるなど、地方自治体は、地方創生に向けた極めて重要なターニングポイントを迎えております。本市が持続的に発展していくためには、今こそ、こうした状況をチャンスと捉えて前に進んでいく必要がございます。

本市の恵まれた産業流通インフラなどの強みを生かした企業誘致や、多様な産業の振興によって働く場を確保するとともに、子育て支援を今まで以上に拡充することによって、職住育近接のまちづくりを進めてまいります。

また、安全で快適に生活できる都市環境を整備し、子どもから高齢者、障害のある方もあらゆる人が安心していきいきと暮らせるまちづくりを進めてまいります。

現在、地球温暖化への対応が世界的な課題となっており、我が国においても、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指す、「カーボンニュートラル」が表明されました。本市においても、市民が暮らしやすいまちづくりを進めるとともに、豊かな環境を未来につないでいくため、2050年までに市全体の温室効果ガスの排出実質ゼロを目指してまいります。

新型コロナウイルスや人口減少など厳しい状況の中ではございますが、市民の皆様の暮らしを守るための施策を着実に行うことはもちろん、湊線延伸や工業用地の確保など、未来に向けた投資となる施策にも全力で取り組んでまいります。また、市内外に向けた情報発信力をこれまで以上に強化することによって、まちの魅力をしっかりと伝えてまいります。

このような考えのもと、新型コロナウイルスへの対応を切れ目なく行うため、新年度を見据えながら、12月の補正予算から継続性をもって予算編成を行ってまいりました。そして、令和3年度当初予算につきましては、第3次総合計画後期基本計画の船出にふさわしい、新たな価値を生み出し、市内外から「選ばれるまち」を実現するための予算といたしました。

まず、一般会計につきまして、歳入の根幹を成す市税について申し上げます。世界の多くの国において、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした渡航制限や外出自粛要請がなされ、世界経済は大きく減速しております。その影響は今後も継続することが想定され、企業収益や雇用環境の悪化が見込まれることから、個人市民税、法人市民税とも近年にない大幅な減収を見込まざるを得ない状況にあります。また、固定資産税においても、新増築家屋の減少や評価替えの影響などにより減収が見込まれ、市税全体としては、前年度当初予算と比較して10億7,340万円、4.4%減となる233億8,260万円としております。

税収の減少に伴い、普通交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税の増加も見込まれますが、少子高齢化に伴う社会保障関連経費等の義務的経費の増加などに対処するため、令和3年度においても財政調整基金及び市債管理基金からの繰入金33億5,164万円を計上しているところであります。

こうした中、新たな事業に向けた財源を確保し、更なる市民サービスの向上や未来への投資を行うため、既存事業を改めて検証し、見直すための取組として「サマーレビュー」の仕組みを昨年から導入いたしました。その結果、令和3年度予算における財政効果は約1億5,000万円となり、時代の変化に対応した新たな事業実施のための財源確保につなげることができました。コロナ禍による厳しい財政状況が見込まれますが、引き続き事業の効果検証や見直しを継続し、効率的な財政運営に努めてまいります。

次に、歳出につきましては、これまで取り組んでまいりました中丸川流域における浸水被害軽減プランに基づく雨水幹線整備や河川改修、土地区画整理事業や佐和駅東西自由通路・新駅舎整備事業、高場陸橋の4車線化など、安全安心で快適に暮らせるまちづくりに欠かせない都市基盤の整備を、国の令和2年度補正予算も活用し、引き続き計画的に進めてまいります。また、湊線の延伸許可を踏まえた、工事施行認可取得に向けた取組を進めるとともに、消防本部・笹野消防署建設事業におきましては、実施設計に着手してまいります。

後期基本計画で目指す「選ばれるまち」の実現には、これまで以上に、市内外に本市の魅力を発信していく必要があります。Webをはじめとした、様々な媒体を効果的に活用するとともに、住民目線でまちの魅力を発掘・発信する市民協働でのプロモーションを行ってまいります。

また、子育て世帯や三世代同居となる世帯、新婚世帯の住宅取得などに係る費用の支援や、未就学児のいる世帯に対し、転入時に海浜公園の入園券を配布するなど、移住・定住の促進に向けた取組を進めてまいります。さらに、公立学童クラブの対象学年を6年生まで拡大するほか、医療福祉費支給制度、いわゆるマル福につきましても、新たに18歳までの外来診療を対象に加えてまいります。

これらのほか、子育て支援コンシェルジュを2名配置し、きめ細やかな案内を行っていくなど、子育て世代が安心して生活できる環境の充実に努めてまいります。

本市のまちづくりの基本指針となる自立と協働のまちづくりの推進につきましては、自治会におけるICT化を支援するなど、新しい生活様式に対応した「地域の絆」づくりを進めてまいります。

新たな補助、支援策としましては、地球温暖化対策の一環として、県の補助金を活用し、家庭用蓄電池等の設備導入にかかる費用の一部を補助するほか、ほしいも生産農家に対し、食品衛生責任者資格取得費用の一部を補助し、本市のほしいもの品質向上に向けた取組を支援してまいります。

教育環境の充実につきましては、学校と地域住民が力を合わせて学校運営に取り組む「コミュニティ・スクール」の導入に向け、市内全ての学校に学校運営協議会を設置するとともに、小学校5、6年生を対象とした学習支援事業「ひたちなか未来塾」につきましても、全ての小学校等で実施してまいります。

また、タブレットを自宅学習で活用するための通信費用を、就学援助費の対象に追加するとともに、美乃浜学園に湊線等で通学する児童生徒の通学費用を支援してまいります。

一般会計といたしましては、これまで取り組んでまいりました美乃浜学園建設などの大型事業完了によって減額となっており、前年度比48億9,300万円、8.2%減の544億5,000万円となる当初予算を編成したところであります。

新型コロナウイルスの影響が続く中、令和2年度の補正予算で計上いたしました感染症対策や経済支援策につきましては、繰り越した事業を進めるとともに、令和3年度においても、時機を逸することなく必要な支援を行ってまいります。

特別会計では、全体計画の見直しを図る下水道事業会計や、引き続き上坪浄水場の改築移転に向け取り組んでいる水道事業会計などを含めた特別会計全体では、前年度比9億7,530万円、2.1%増の482億4,708万円となっております。

第3次総合計画後期基本計画の初年度となります令和3年度の当初予算は、一般会計と特別会計の合計で、前年度比39億1,770万円、3.7%減の1,026億9,708万円となりました。引き続き、安定的かつ健全な財政運営に努め、本市の更なる発展に向けて、市政運営に取り組んでまいります。

次に、令和3年度の市政への具体的な取組につきまして、以下の6つの柱に沿って、新たな取組や重点施策などについてご説明申し上げます。

1 市民の安全安心な暮らしを守るまちづくり

1つ目は、市民の安全安心な暮らしを守るまちづくりであります。

誰もが安全安心な暮らしを送ることができるまちづくりが「選ばれるまち」としての基本となります。まもなく、東日本大震災発生から10年の節目を迎える今、改めて災害対応について考えるとともに、新型コロナウイルス感染症等の新しい課題にも対応した取組を強化する必要があります。

新型コロナウイルスワクチンにつきましては、市民の皆様への接種を円滑に進めるため、国や県の動向を注視しながら、市医師会などと協議・調整を進めているところであります。本市におきましては、市民が安心かつ円滑にワクチンを接種できるよう、医療機関での個別接種と公共施設等での集団接種を併用して実施いたします。まずは、優先的に実施する予定である高齢者等に対する接種に向け、体制構築に全力で取り組んでまいります。

新型コロナウイルスを踏まえた災害対応につきましては、避難所の衛生環境の向上を図るとともに、感染拡大時における避難の要点を記載した防災マップを配布するなど、災害時の感染症対策に努めてまいります。

また、令和3年度に供用開始予定の基幹的防災備蓄倉庫につきましては、感染症対策備品を含めた物資の集中管理及び支援物資の受入れ・配送の拠点としてまいります。

防災情報を確実に伝達するための取組につきましては、防災行政無線のデジタル化に向けた設計を進めるとともに、ひたちなか安全・安心メールやSNSなど多様な伝達手段を組み合わせ、市民に対し、適切かつ迅速な情報提供を行ってまいります。

河川の氾濫による浸水被害防止への対応につきましては、国や県、本市を含む那珂川沿川市町が連携し、那珂川水系における今後の治水対策として、「那珂川緊急治水対策プロジェクト」を昨年1月に取りまとめました。また、流域全体で治水対策に取り組むための「久慈川・那珂川流域治水協議会」を昨年8月に発足させたところです。本市におきましても、建設部河川課内に「那珂川緊急治水対策推進室」を設置し、プロジェクトの早期進捗を図るとともに、引き続き、那珂川無堤部の築堤の促進、中丸川・早戸川水門への常設排水ポンプ設置を国及び県に要望してまいります。

集中豪雨対策につきましては、中丸川流域における浸水被害軽減プランに基づき、河川と下水道の整備に加え、企業と住民が一体となった総合的な治水対策を引き続き進めてまいります。

今後、首都直下地震等の発生も予測される中、いつ起きるかわからない災害に備えるためには、ハード面の整備を着実に進めることに加え、自主防災会と連携した、地域の防災力強化が重要です。

ハード面の整備につきましては、水道施設の強靭化による水の安定供給に向けた、上坪浄水場更新事業を進めております。現在、施設建設工事の最終段階を迎えており、早期完成を目指し、引き続き機械設備工事等を進めてまいります。また、市民生活に影響が大きい幹線管路の更新や耐震化について優先的に行ってまいります。

また、昭和56年以前の旧耐震基準によって建築された木造住宅等の耐震改修の促進を図るため、耐震診断及び耐震改修に係る費用の一部を引き続き補助してまいります。あわせて、地震によって倒壊する恐れのある危険なブロック塀等につきましても、人的被害や、避難・救助の障害になることを未然に防止するため、撤去に係る費用の一部を引き続き補助してまいります。

地域における防災力の強化につきましては、総合防災訓練の実施や地域独自の訓練の支援等、感染症対策を踏まえた防災体制づくりを進めてまいります。また、自主防災会に対して防災士資格取得費用の一部を補助し、引き続き、防災リーダーの育成を支援してまいります。

原子力災害に備えた広域避難計画につきましては、複合災害への対応や災害弱者への支援等、課題が山積しております。東海第二原子力発電所が立地するこの地域は、原発所在地としては他に例のない人口規模であり、実効性のある計画の策定は困難を極めております。これらの課題を共有する県や関係市町村と密に連携しながら、市民の安全確保を最優先とした広域避難計画の策定に取り組んでまいります。

また、東海第二原発の再稼働問題につきましては、引き続き、「原子力所在地域首長懇談会」の構成自治体と連携を図りながら、新安全協定に基づき、原子力所在地域の自治体として責任ある対応をしてまいります。

医師会・薬剤師会のご協力をいただきながら、市独自で全市民を対象に配布をしている安定ヨウ素剤につきましては、1歳6か月児健康診査と合わせた配布会を開催するなど、引き続き配布率の向上を図ってまいります。

消防・救急につきましては、指令システム及びデジタル無線システムの全面的な更新を含めた消防本部・笹野消防署の庁舎建替えに向けて、令和6年度の供用開始を目指し、ひたちなか・東海広域事務組合が行う実施設計を進めてまいります。

消防団につきましては、引き続き団員の確保を支援するとともに、和田町地区の第17分団の消防ポンプ自動車を更新し、装備の充実を図ってまいります。また、佐和駅前地区の第27分団につきましては、活動しやすい環境の整備に向けて、団員が待機することのできる詰所を新たに建設するための用地を確保してまいります。

増え続ける空き家への対策といたしましては、地域交流や地域活性化等の拠点づくりとして、活用希望者と所有者のマッチングを行い、空き家の有効活用の促進を図ってまいります。

消費生活につきましては、高齢者を狙った悪質商法やニセ電話詐欺等、多様化する消費者問題を未然に防止するため、自動通話録音装置の貸出し等の取組を推進するほか、引き続き消費者相談及び啓発等に努めてまいります。また、若年層についても講演会や講座等での啓発により、マルチ商法等の未然防止に努めてまいります。

2 生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくり

2つ目は、生涯を通じていきいきと暮らせるまちづくりであります。

高齢化や核家族化が進展する中、住み慣れた地域で誰もが、安心して幸せに暮らしていくためには、行政サービスの充実に加え、地域社会における助け合いや支え合いがますます重要となります。

このような認識のもと、コミュニティ組織や自治会、民生委員、福祉事業者等の関係者による協議の場づくりを推進し、積極的に意見交換を行ってまいります。

また、社会福祉協議会と連携しながら地域福祉の担い手を発掘・育成するための人材育成講座を開催するとともに、「地域福祉座談会」を開催し、地域における福祉課題の抽出や、地域福祉に関する意識の醸成を図ってまいります。

人生100年時代を見据え、医療と介護が必要な高齢者に対して、切れ目なくサービスを提供することができるよう、引き続き医療と介護の連携を推進してまいります。

さらに、現在、75歳以上の高齢者を対象とした「保健事業」と65歳以上を対象とした「介護予防事業」をそれぞれ独立して行っておりますが、令和3年度からこれらの事業を組み合わせ、一体的に実施してまいります。具体的には、健診結果等のデータを基に対象者を絞り込み、保健師等が個別に訪問し、生活習慣の改善方法や疾病予防等について適切な助言を行います。また、必要に応じて「シルバーリハビリ体操」や「元気アップ体操」などの介護予防教室への参加を勧奨し、体操や口腔、栄養等の集団指導をきめ細かく行いながら、高齢者が生涯にわたり健やかに暮らし続けることができるよう努めてまいります。

介護保険事業につきましては、「看護小規模多機能型居宅介護施設」及び「定期巡回・随時対応型訪問介護看護施設」が新たに1か所ずつ開設される予定であり、事業者による整備を支援してまいります。

地域医療の充実につきましては、ひたちなか総合病院における、救急医療等に不可欠な麻酔科医の確保や、筑波大学附属病院との協定に基づく社会連携講座による高度専門医師の確保を引き続き支援してまいります。また、リスクの高い妊婦に対する周産期の医療体制を維持し、安心して妊娠・出産ができる環境を整えるため、県央地域定住自立圏の構成自治体と連携して水戸赤十字病院における産婦人科医の確保についても支援してまいります。

障害者福祉につきましては、障害のある方が住み慣れた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、障害の内容や程度に応じたサービスの情報提供や関係機関との連絡調整など、相談体制を拡充してまいります。また、障害のある方に対する理解を促進するため、市内の小中学生を対象として、障害者への配慮等を学ぶ講座を引き続き開催してまいります。

高齢等により公共交通の利用が困難な方々への買い物等の支援につきましては、社会福祉法人等が送迎車両を活用して行う買い物支援サービスに係る費用の一部を引き続き補助してまいります。また、民間事業者による移動スーパーについても事業者と見守り活動の協力に関する協定を締結した上で、事業の周知を図るなど、活動を支援するとともに、本市において実現可能な買い物等の更なる支援策について検討してまいります。

「ふぁみりこらぼまつり」などの、子どもから高齢者まで楽しめる多世代交流イベントにつきましては、新しい生活様式に対応した形も検討しながら開催し、世代間交流の促進に努めてまいります。

3 子育て世代に選ばれるまちづくり

3つ目は、子育て世代に選ばれるまちづくりであります。

子育て世代やこれから子育てを行う世代に選ばれるまちとなるためには、安心して子どもを産み育てることができる環境を整えることが重要です。あわせて、本市の未来を担う子どもたちの豊かな人間性や、地域への愛着を育み、将来にわたって親子で住み続けたいと思ってもらえるまちを目指します。そのために、子育て世代の声に耳を傾けながら、効果的な施策を立案するとともに、多くの方々に情報を届けられるよう、情報発信にも積極的に取り組んでまいります。

現在市では、子育て等における家族間の支えあいを促進するため、市内で新たに三世代同居等を始める転入世帯に対し、住宅取得等の費用の一部助成を行っています。この「三世代同居等支援住宅助成金交付事業」を見直し、家族の絆の構築に加え、子育て世代の本市への移住・定住を促進するための住宅取得支援の観点も組み入れてまいります。

また、結婚に伴う経済的負担を軽減するため、国の結婚新生活支援事業を活用して一定の所得層の新婚世帯の賃貸住宅への入居や住宅取得等を支援し、本市における結婚世帯の増加と定住を促進してまいります。

さらに、市外在住の子育て世代に対し、国内有数の観光地である国営ひたち海浜公園の知名度を活かしたPRを行い、本市への移住につなげるため、転入してきた子育て世帯に国営ひたち海浜公園の入園券を配布してまいります。加えて、海浜公園までの移動手段も含め、公共交通の利用促進を図るため、スマイルあおぞらバスの年間無料パスポートをあわせて配布してまいります。

成長期にある子どもが必要な医療を切れ目なく安心して受けられる環境を整えるため、医療福祉費支給制度いわゆるマル福のうち、小児マル福の外来医療費助成を令和3年10月から18歳まで拡充いたします。高校生までの子どもを持つ親の経済的負担の軽減を図ることによって、更なる子育て支援の推進に努めてまいります。

また、「子育て支援コンシェルジュ」を子ども政策課窓口に新たに2名配置し、行政の子育てサービスに加え、民間サービスについても一体的に情報提供することで、利用者一人一人に合った支援を行うとともに、コロナ禍においても自宅に居ながら子育てについて相談することができるよう、Web会議システムを活用したオンライン相談も取り入れてまいります。

子育て支援センター「ふぁみりこ」につきましては、親子が安心して利用できるよう、感染症対策を行いながら開設してまいります。また、土曜日・日曜日・祝日や夏休み期間等に「ふぁみりこらぼ」の一室を活用し、開設している「コドモノアソビバ」につきましては、小学校入学後も利用することができる場として、引き続き開設してまいります。これらの取組について、SNS等のメディアを活用し、親子が自宅でも楽しめるコンテンツを積極的に配信してまいります。

子どもが屋外で思い切り遊ぶことができるプレーパークにつきましては、その活動や普及に向けた取組を引き続き支援してまいります。

主に小学校高学年の児童が、地域社会との交流によって、社会性を育む放課後の子どもの居場所づくりにつきましては、その活動を引き続き支援するとともに、新規開設を検討する団体等の発掘、支援に取り組んでまいります。

公立学童クラブにつきましては、前渡小学校と長堀小学校の敷地内に専用施設を建設中であり、今月中に供用開始となる予定です。令和3年度におきましては、共働き世帯の増加や感染症等による学校の緊急休業時の対応など、子どもを取り巻く環境の変化に伴い、高学年の利用ニーズが高まっていることを踏まえ、対象学年を6年生まで拡大してまいります。また、放課後児童支援員の認定資格研修をはじめとする各種研修の受講を推進し、子どもの育成支援に関するスキル向上に取り組むとともに、働きやすい環境づくりを進め、人材の定着、安定確保を図ってまいります。

保育施設の整備につきましては、昨年開所した「高野いろは保育所」において、特に需要が多い0歳児から2歳児までの受入を行うとともに、本年10月に竣工を予定している、東石川保育所の入所定員を、現在の60名から120名に拡大し、待機児童の解消に努めてまいります。また、馬渡地区で建替えを予定している民間保育所に対する施設整備を支援してまいります。

病児保育につきましては、那珂湊地区の病院併設型病児保育施設「まりんルーム」に加え、昨年4月に那珂市と相互利用協定を締結した「しろやぎさんのポシェット」の広域利用を推進するとともに、改築後の東石川保育所において、看護師を配置した保育所併設型病後児保育を新たに実施してまいります。また、勝田地区における病院併設型病児保育施設の早期開設に向け、引き続き開設希望事業者との協議に取り組むなど、保育環境の整備を推進してまいります。

保育士確保の取組につきましては、保育所見学や個別相談を行う就職フェアの開催、保育士の養成学校への広報活動を引き続き実施してまいります。また、民間保育所に対し、保育士処遇改善加算を含めた施設型給付を行うとともに、更なる処遇改善について、国の責任のもと全国一律に行われるよう引き続き国に要望してまいります。さらに、保育士の負担を軽減するための保育業務のICT化につきましては、令和2年度に公立保育所で導入した保育業務支援システムにより、保育記録や指導計画作成に係る書類の削減や事務作業時間の短縮が図られたところです。民間保育所においても、令和2年度までに11か所での導入が完了いたしました。引き続き、保育士が子どもと向き合う時間を増やし、保育に専念できるよう、新たに導入を予定している5か所に対して支援してまいります。

幼児教育につきましては、家庭環境やニーズの変化に対応するため、全ての公立幼稚園において、教育時間外の預かり保育を開始いたします。3歳児の受入れにつきましては、令和2年度より、東石川、佐野、那珂湊第一の3つの幼稚園で開始しております。残る那珂湊第三幼稚園につきましても、令和4年度からの受入れ開始を目指して保育室の増築を進めてまいります。

また、幼児期の教育から小学校教育への学びの連続性を確保するため、保育所や幼稚園と小学校の教職員による情報共有の場を充実させてまいります。

特別な支援を必要とする幼児や児童生徒に対しましては、介助員を適切に配置し、個々の状況に応じた支援の充実に努めてまいります。また、教育研究所に在籍する特別支援教育研究推進員が、各学校の実態に応じた教育相談を行い、教職員や保護者に対する支援体制の強化を図り、障害の有無にかかわらず、誰もが共に学ぶことができるインクルーシブ教育を推進してまいります。

また、学校を安心できる心の居場所にするとともに、教育活動や授業の中で、一人一人が活躍できる場面や、友達と協働して物事をやり遂げる喜びを味わえる場を設けることによって、学校に来ることが楽しいと思える「魅力ある学校づくり」を推進し、不登校やいじめの未然防止に努めてまいります。

学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組む「コミュニティ・スクール」につきましては、それぞれの学校や地域の実情に応じ、学校運営協議会を新たに設置し、地域と共にある学校づくりを推進してまいります。

小学校5・6年生を対象とした学習支援事業「ひたちなか未来塾」につきましては、教育委員会、学校、市民ボランティアの連携のもと、放課後の空き教室を活用して実施しております。この取組により、参加児童の学習意欲の向上などの成果が出ているため、令和3年度は実施校を市内全ての小学校等に拡大し、児童の学力向上に向けて取り組んでまいります。

5つの小中学校を統合して開校する美乃浜学園につきましては、遠距離通学となった児童生徒が安全に登下校できるよう、通学に湊線を利用する予定でございます。湊線の定期券を支給するなどの通学支援を行うとともに、地域や保護者の皆様にご協力いただいている見守りに加え、学校校務員や青少年相談員等が同乗しての見守りを実施することにより、通学の安全性を確保してまいります。また、閉校となる平磯・磯崎・阿字ヶ浦地区の小中学校の跡地につきましては、地元のニーズを把握しながら、地域の活性化につながる利活用が図れるよう検討してまいります。

小中学校の給食室の計画的な改修につきましては、田彦小学校と大島中学校のドライシステム化を進めてまいります。

ICT教育の推進に関しましては、GIGAスクール構想に基づく児童生徒1人1台のタブレット端末の導入が、令和2年度中に完了いたします。ICTを活用した効果的な教育を実施するため、教員に対する研修等も行いながら、一人一人の習熟度等に合わせた、さらに質の高い授業づくりや学習の取組へとつなげてまいります。また、経済的な理由で就学することが困難な児童生徒への支援を拡充し、就学援助費にタブレットを自宅学習で活用するための通信費用を追加いたします。

4 地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくり

4つ目は、地域経済の活性化とにぎわいのあるまちづくりであります。

市内外の方から選ばれ、安心して住み続けていただくためには、働く場が確保されていることが大切です。企業誘致や地域に根差した多様な産業の活性化を推進するとともに、新たな雇用を創出することで、定住人口のみならず、交流人口や関係人口の拡大につなげ、本市の持続的な発展を図ってまいります。

農業につきましては、ほしいもの産地間競争が激しさを増す中、日本一の生産量を誇る産地としての歴史や製法、個々の生産者の特色ある取組等、本市の強みを生かしながら、ひたちなか市産ほしいもの魅力を全国に発信してまいります。また、食品衛生法の改正に伴い、令和3年6月からほしいも生産農家においても、食品衛生責任者の設置が必須となることから、ほしいも生産農家の資格取得を支援し、衛生的な加工の普及・推進を図ってまいります。さらに、ほしいもの原料でもあり、国内外で需要が拡大している甘藷の生産拡大を図るため、必要な施設や農業機械の導入について、国の補助金等も活用しながら支援してまいります。

また、本市でのみ生産されている、大粒で、高い品質基準を満たしたトップブランド米「特栽・特選ふくまる」の普及拡大を図るため、各種イベントで実際に味わっていただくなど、PR活動を実施してまいります。

水産業につきましては、漁業就業希望者の発掘を目的に、漁協と連携した漁業体験研修を引き続き実施いたします。また、新規就業者を県の研修支援期間終了後も継続して雇用した漁業者に対して支援を行うことにより、漁業への定着を図ってまいります。ひたちなか市地方卸売市場につきましては、防鳥ネットの設置や衛生管理エリアの設定などを行い、HACCPの考え方に即した「衛生管理型市場」を目指してまいります。さらに、商工会議所や漁協等で構成する「魚食普及活動実行委員会」が実施する魚食普及キャンペーンや、市魚食普及推進大使「さかなクン」の認知度を活かした講演会等の取組を支援することにより、本市産水産物の消費拡大や魅力の発信を推進してまいります。

そして、これらひたちなか市産農水産物の魅力を県外にも広く発信するため、県や近隣市町村との連携を強化しながら、東京都内のイベントスペース等においてPR活動を行ってまいります。

観光につきましては、新型コロナウイルスの影響により低下した観光需要を回復させるため、状況を適切に見極めながら、集客イベントや海水浴場の開設を支援してまいります。

また、観光客数の減少が想定される中、本市を訪れた観光客の滞在時間の延長やリピート率の向上等を目指すため、観光協会が実施するお土産品の開発・磨き上げや市内での宿泊促進、さらには、感染症の状況に適切に対応しながら実施することができ、収束後の観光振興にもつながる取組を支援してまいります。

広域観光につきましては、「ひたちなか大洗リゾート構想推進協議会」において、2市町を一体的なエリアとしてイメージ付ける情報発信や、一人当たりの観光消費額の増加を図るための取組を進めてまいります。また、「大洗・ひたち海浜シーサイドルート利活用推進協議会」において、サイクルツーリズムの推進に取り組んでまいります。

茨城港常陸那珂港区につきましては、中央ふ頭地区における2バース目の水深12m岸壁の一部が供用開始されたことなどにより、着実に港湾施設の利便性の向上が図られております。また、定期航路の拡充等により取扱貨物量も順調に推移しており、令和元年のコンテナ取扱量は過去最高を更新いたしました。令和2年におきましても、新型コロナウイルスの影響を受けつつも堅調に推移しております。今後も、更なる港湾機能の強化が図られるよう国・県に働きかけてまいります。あわせて、県や東海村等と連携しながら、荷主企業等を対象としたセミナーの開催や国内外へのポートセールス、コンテナ貨物集荷促進事業に引き続き取り組んでまいります。

企業誘致の取組につきましては、企業訪問や企業立地セミナーを通じて、固定資産税の不均一課税制度等の各種優遇制度、港湾とそれに直結する高速道路などの産業流通インフラなどの、本市の魅力的な立地環境を積極的にPRし、企業立地及び新たな設備投資を促進してまいります。

また、企業立地や市内中小企業の移転・拡張に対応する新たな工業用地を確保するため、ひたちなか地区の産業ゾーンへの工業団地の造成を、民間活力の導入も含め、検討してまいります。

中小企業への支援につきましては、産業活性化コーディネーターや商工会議所と連携しながら、先端設備等導入計画の認定を受け、要件を満たす事業者に対する固定資産税の優遇措置等の支援制度により、設備投資を促してまいります。また、中小企業向けの補助金につきましては、事業者のニーズに応じて活用しやすくなるように製造業等を営む事業者の販路開拓や人材育成等に対する補助金を統合するとともに、対象業種に関しても拡大するなど、新たな日常に適合した中小企業の取組を支援してまいります。

また、都市部の学生に向けたインターンシップを実施することで、市内事業者の認知度の向上や関係人口の創出を図り、人材確保につなげてまいります。

商業の活性化につきましては、市内経済の回復のため、令和3年度の取組を前倒しして、令和2年12月に予算化した「ひたちなかで食べよう」応援事業及びプレミアム付商品券発行事業について、引き続き、商工会議所と連携しながらスピード感をもって取り組んでまいります。また、ひたちなか祭りや七夕まつりなど、商店街等で開催されるイベントを支援し、感染状況を適切に見極めながら商店街等の活性化やにぎわいの創出を図ってまいります。

ふるさと納税の取組につきましては、新型コロナウイルスの影響を受けている地元生産者や事業者を応援していただくため、令和2年10月から返礼品の提供を開始いたしました。寄付者が返礼品を通じて、本市を応援していただけるよう、内容をさらに充実させ、交流人口や関係人口の拡大につなげてまいります。

令和2年度は新型コロナウイルスの影響により、勝田全国マラソン大会や三浜駅伝競走大会を中止せざるを得ませんでしたが、代替イベントとして「勝田全国オンラインマラソン」を開催いたしました。令和3年度は、伝統ある「勝田全国マラソン大会」が第70回目の開催となる節目の年を迎えます。70回記念にふさわしい大会となるよう、参加者へのおもてなしの充実やブランド力の向上を図るとともに、感染症対策を講じながら、開催に向け準備をしてまいります。

本年7月に開幕が延期されている「東京オリンピック・パラリンピック」につきましては、ベルギーオリンピック委員会との基本合意により、本市と水戸市がベルギー選手団の事前キャンプ地となっていることから、十分な感染症対策を実施のうえ、市民との交流事業を実施してまいります。さらに、開催前に行われる聖火リレーにつきましては、7月に本市那珂湊おさかな市場からアクアワールド茨城県大洗水族館の区間を聖火ランナーが走る予定です。関係機関と連携して、オリンピックの機運を盛り上げるとともに、本市の魅力を発信してまいります。

5 快適で機能的な住みよいまちづくり

5つ目は、快適で機能的な住みよいまちづくりであります。

人口減少や少子高齢化が進む中でも、将来にわたり人々や企業から選ばれる活力のあるまちとなるよう、利便性と快適性を備えたまちづくりを進めていく必要があります。

佐和駅東西自由通路及び新駅舎整備事業につきましては、令和2年12月にJRと締結した施行協定に基づき、新駅舎等の建設に着手し、令和4年度末の供用開始を目指してまいります。また、佐和駅東口駅前広場につきましては、新駅舎等の供用開始に併せ、整備を進めてまいります。

市内7地区で進めている土地区画整理事業につきましては、地域間の交通ネットワークの強化を図るため、引き続き都市計画道路の整備を優先的にかつ重点的に進めてまいります。あわせて、通学路など歩行者の安全確保や雨水排水の課題を解消するための整備を進め、良好な住環境を備えた街並みの形成を図ってまいります。

東中根高場線の高場陸橋につきましては、4車線化に向けて北側に新橋を増設するため、盛土擁壁工事を引き続き実施し、令和4年度末の供用開始を目指してまいります。

また、長期間整備未着手となっている都市計画道路につきましては、将来の道路網の検証や交通量の推計を踏まえ、計画の見直しを行ってまいります。

身近な場所に都市公園がない市街化区域の公園空白地につきましては、令和元年度の田彦東地区、令和2年度の金上地区に続き、令和3年度は、田彦西地区を対象として地元自治会と調整を図りながら公園の整備を進めてまいります。

中心市街地において建替えを計画している新中央図書館につきましては、アクセス性や利便性に配慮した魅力的な図書館となるよう、新型コロナウイルス感染症の状況や社会情勢の変化を見極めながら検討を進めてまいります。

市が所有する体育施設につきましては、その多くが建設後30年以上経過しております。そのため、各施設の現況や利用状況、維持管理コスト等を考慮しながら、将来を見据えた体育施設のあり方について検討してまいります。

下水道事業につきましては、市街化区域における未整備区域を早期に解消できるよう効果的で効率的な整備手法を検討するなど、持続可能な下水道経営を目指し、全体計画を見直してまいります。また、下水浄化センター施設等の処理機能を維持するため、老朽化対策等を計画的に進めてまいります。

市民の日常生活の足として市内全域を運行している「スマイルあおぞらバス」につきましては、美乃浜学園開校に合わせて、ダイヤの見直しを行うとともに、引き続き地域や利用者からの要望等を踏まえた、より利便性の高いルート変更等を検討してまいります。

また、新型コロナウイルスの影響を受け、利用者が減少傾向にある地域公共交通の利用を喚起し、事業者を支援するため、引き続き、ひたちなか海浜鉄道及びバス事業者に対し、1日フリー券の割引販売補助を行います。

ひたちなか海浜鉄道湊線につきましては、平成29年度から3年間連続で利用者数が100万人を上回っておりましたが、令和2年度は、新型コロナウイルスの影響もあり、前年度の7割程度となる見込みです。自立的・安定的な事業運営に向け、引き続き、おらが湊鐵道応援団、沿線の市民の皆様や高校等と連携しながら、利用者の回復に努めてまいります。また、安全運行を確保するための設備投資に対する補助を、国・県と協調して行ってまいります。

湊線の延伸につきましては、ひたちなか海浜鉄道の事業許可を取得したところですが、引き続き関係機関との協議を進めながら、用地交渉や延伸ルート全体を対象とした工事施行認可の取得に向けた取組を支援してまいります。あわせて、用地交渉の進捗状況や工事施行認可の取得時期を踏まえながら、鉄道施設の効率的な整備方法等について検討してまいります。

地球温暖化対策につきましては、2050年までの市全体の温室効果ガス排出実質ゼロを目指すことを、第3次環境基本計画に位置付け、積極的に推進してまいります。具体的な取組として、太陽光発電システムと共に蓄電池を導入する家庭に対し、県の補助金を活用しながら、その費用の一部を新たに支援してまいります。

ごみの減量化・再資源化の推進につきましては、市報やガイドブック等を通じ、分別の徹底や、自治会・子ども会が行う資源回収への積極的な協力を呼びかけるとともに、水切り・食べ切り・使い切りの「3切り運動」や食品ロス削減及びプラスチック製容器包装物の削減を推進してまいります。

6 市民とともに知恵と力を合わせたまちづくり

6つ目は、市民とともに知恵と力を合わせたまちづくりであります。

コロナ禍において、人と人との距離の取り方への配慮や新しい生活様式への対応が求められる状況であっても、市民一人一人にまちへの誇りや愛着を持ち続けていただくことができるような取組を推進していく必要があります。

本市におきましては、平成22年4月に市民参加の下つくりあげた「自立と協働のまちづくり基本条例」を規範とし、市民・議会・行政が適切な役割を分担しながら、お互いに連携・協力したまちづくりが進められてまいりました。中学校区単位のコミュニティ組織においては、地域活動の拠点となるコミュニティセンターの運営のほか、お祭りや運動会をはじめ地域の特色を発揮した活動を展開し、様々な担い手が連携して地域づくりに取り組んでおります。各コミュニティに設置されたまちづくり市民会議では、自らの住む地域の課題について話し合い、自分たちの地域でできることは自分たちで取り組むという方針のもと、様々な活動が進められているところであります。今後も自立と協働のまちづくりをより一層推進していくため、引き続き市民への啓発に努めてまいります。

自治会においては、加入の意義やメリットが見いだせない若年層の未加入や、役割の負担感から加入をためらう世帯、また、体力的に活動に参加・協力できない高齢者の中途脱会などにより、役員や地域活動の担い手不足が深刻化しております。自治会の重要性・必要性を分かりやすく伝える自治会活動ガイドブック「おとなりさん」を活用し、自治会連合会と協力して自治会加入促進に努めてまいります。

さらに、市民参加型のワークショップ等、市民が主体的に参加できるイベントを開催することにより、共感を持って自発的にまちを良くしていこうという思いや、まちに対する誇りや愛着を表す「シビックプライド」を醸成し、市民協働のまちづくりにつなげてまいります。

また、新型コロナウイルスによる影響が長期化し、自治会活動が制限される中、ICTの活用は利便性や即時性が高く、非常に有効です。そのため、スマートフォンやパソコンの活用能力を高める講座を開催するほか、新たにICT環境を整えるための補助金を創設し、自治会活動のICT化を推進してまいります。

市役所においても、職員の感染防止や職場で感染者が出た場合に行政サービスを継続するため、サテライトオフィスの設置や自宅でのテレワークの試行など、分散勤務の取組を進めております。引き続き、そうした取組を実施するとともに、効果的なシステムの導入を行い、市役所内での感染症対策に努めてまいります。

マーケティング推進事業につきましては、若年女性の移住・定住を促進するため、潜在的なニーズの把握も含めた調査・分析を行い、その結果を踏まえたプロモーション動画を制作しているところです。令和3年度は、この動画を活用したWebでの魅力発信や、市民の発信力を生かしたSNSでのPR等、若年女性や子育て世代等に対して効果的なプロモーションを行ってまいります。また、市ホームページ等において移住・定住促進の情報発信を充実させ、市外の方々に向けた魅力の発信を行ってまいります。

新型コロナウイルス感染症の拡大やテクノロジーの急速な進歩など、社会を取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な時代となっております。

そのような中、先の見通せない時代においても、変化を恐れず、適切に対応していくためには、これまで市民の皆様や各種団体・事業者の皆様のご協力をいただきながら築き上げてきたひたちなか市の価値を守り、共に育て、未来に向けて更に新しい価値を創りだしていくことが必要です。そうした考えのもと、第3次総合計画後期基本計画という新たな羅針盤を手に、全力で市政運営に取り組んでまいります。

以上、令和3年度の施政方針をご説明申し上げました。

本市の市政運営につきまして、市民並びに議員各位の格別なるご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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