県指定工芸品
4.太刀(伝大村加卜)・白鞘(たち(でんおおむらかぼく)・しろさや)江戸時代前期
大村加卜は、現在の静岡市出身の外科医師で、越後高田藩松平家に仕え、天和(てんな)元年(1681年)に松平家が改易(領地没収)された後、水戸徳川家に仕えました。外科用のメスを製作することから刀剣鍛錬の道に入りました。貞享(じょうきょう)2年(1685年)、水戸藩第二代藩主徳川光圀公の命により、現在の常陸太田市の鏡徳寺で刀2振りを鍛えています。この刀は、豪壮な体裁に加えて、地・刃の出来が優れています。白鞘には、光圀の命によることや試し切りが6度に及んだことなどの由緒が書かれています。
5.熏韋威胴丸鎧(くすべかわおどしどうまるよろい)室町時代末期
胴は前立挙(たてあげ)2段、長側4段、右合わせで腰部がすぼまります。草摺(くさずり)・袖金具も室町期のもので、大鍬形獅噛(おおくわがたしがみ)付の四方白兜、篭手(こて)、佩盾(はいだて)、臑当(すねあて)、乗沓(のりぐつ)、半首(はっふり)も伴います(篭手以下は近世の補足)。熏韋威は鎧の札(さね)をなめし皮で綴り、熏色にしたものをいいます。兜は水戸八幡宮のものと並ぶ逸品と評価されている貴重なものです。
6.鎧櫃(よろいびつ)桃山時代末期
鎧を納めるケヤキ材でできた収納箱で、笈形(おいがた:背負う形)では県内唯一のものです。上部は丸みがあり、後ろに傾斜ぎみで、奥行きは浅くなっています。底は幅・奥行きがほぼ同じ長さです。前面は生地塗り、残りの3面は黒漆塗りで仕上げられています。
7.華蔵院の梵鐘(けぞういんのぼんしょう)南北朝時代
鐘の表面の名文によると南北朝時代の暦応(れきおう)2年(1339年)に鋳造されたもので、高さ117cm(センチメートル)、口径は69cm(センチメートル)で、県内最古の部類の梵鐘です。もとは常陸大宮市上檜沢の浄因寺のものでしたが、寛文(かんぶん)6年(1666年)に取り潰しになり、梵鐘は満福寺の所有になりました。その後、江戸時代の末に、水戸藩の大砲鋳造のために徴用され那珂湊に運ばれましたが、結局潰されずに残り、明治23年に華蔵院の所有になりました。
8.瀬戸緑釉狛犬(せとりょくゆうこまいぬ)室町時代後期
瀬戸製の焼き物の狛犬で、阿吽(あうん)一対ではなく、口を閉じた吽形の2体が保管されています。高さは20.8cm(センチメートル)と19.5cm(センチメートル)で、頭部は丸く、胴や足が比較的太い獅子型で重厚な作りです。頸部の前面には飾り帯を垂らし、刷毛目で”たてがみ”や胸毛が表現されています。緑釉は酸化焼成のために黄色味を帯びています。
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