第18回 認知症になった本人の声

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ページID1010573  更新日 2022年9月1日

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本人の声

認知症の方は、日々をどう感じているのでしょうか?巷では様々な情報が飛び交い「認知症は自覚がない」等と言われる事もあります。でも実際は、自覚がないとは限りません。

今回は「自分の頭が何か変…認知症なのかも?」と思い悩むアルツハイマー型認知症の方とのお話しをご紹介します。

この話から「認知症の方々には自覚がない、何も分からない」等の誤解が解けて、1人でも多くの方に当事者の事を知っていただければと思います。

さて今回の主役は、病院で診断を受け「認知症である自分」に戸惑い、嘆き、そこから家族や地域の方、相談相手との会話を通して、少しずつ自分の暮らし方を探し続けている現在進行形のストーリーです。パートナーと表記される方は、配偶者を表しています。

本人Aが相談相手Qを受け入れられた後からのお話しです

Q:認知症と言われて、今自分自身の事をどう感じていますか?

A:アルツハイマー型認知症って言われているのだが、私は認知症…なんだろう。

Q:認知症だろう、というのはどういう事ですか?

A:認知症…かどうかは別として、頭がうまく回らない感じは気付いていた。パートナーにもおそらく迷惑をかけていると思う。ただ、何がうまくいかなくて、何を助けられたのかは分からない、言えない。これが忘れたという事かもしれないが、私としては忘れたというより、元からそんな事はなかったかのように感じる。でも、これだけ自分の頭が回らない事が気になるのだから、自分がこうしていられるのは、何も言わずにパートナーが助けてくれているのだと思う。

何かうまくいかない…と心のモヤモヤを持ち続けるだけでは精神衛生上良くない事、認知症があってもなくても日々の楽しみを持つ事が、健全な暮らしに大切である事を伝えた上で談話は続きます。

Q:興味を持っている事や、やってみたい事ってありますか?

A:散歩と、散歩のついでに(?)パチンコかな。健康的で不健康な趣味ですよ(笑)

自分が前と違うと気付いているが、パチンコ屋でみんなと同じ事をしてると「みんな一緒」と感じて安心するんだ。散歩の途中はコンビニでコーヒーを飲む。店内でゆっくり座って、通勤の車や学生の通学を見てると「私も社会の一員なんだな」って思い出せる。後はみんなが忙しいのに、優雅にコーヒーを飲みながら私は勝手にみんなを応援しているよ。

趣味や楽しみの話題が続く中で、思い出話になる

A:歌が大好きでな。若い頃は、私に用事がある時は、家じゃなくて歌声喫茶を探しに行く方が見つかる、とまで言われていた。長く通ったな、歌が好きでバンドも組んだ。全く楽器は弾けませんけどね(笑)。今はなかなか歌う場所が無くて…、話してたら歌いたくなってきた。そんな場所(歌声喫茶みたいな所)はないもんかね。

現在も散歩とパチンコと歌を楽しむ暮らし方を本人中心に続けています

このお話しは、本人とパートナーに掲載の了解を頂いています。話を振り返りながら、本人は「毎日の暮らしとしては悪くないね。」と、パートナーは「本人Aが認知症にはなったけれど、大変な時は子ども達が助けてくれて、気さくに相談できる人がいて、夫婦で暮らせる今は幸せ」と話されていました。

「本人がどう暮らしていきたいか」「本人の声」をパートナーや身近にいるみなさんとで、話をしているからこそ、の暮らし方だと思います。認知症の症状によっては、本人が話す事にかなりの努力や時間がいるかもしれません、聞く事が大変な時もあるでしょう。それでも、話そうとする事や、聞こうとする姿勢や気持ちはお互いに伝わるかもしれません。出来る範囲で無理なく話をしていきたいものですね。

認知症地域支援推進員は、電話相談・自宅訪問を行っております。
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