第8回 眠らない

ページID1005106  更新日 2022年1月5日

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認知症の方が起こす様々な行動の1つに「夜に活動的になる」といった事がしばしば見られます。昼夜逆転と言ってしまえば一言ですが、その背景や原因について考えてみようと思います。

なぜ夜なのに眠らない?

認知症になると様々な脳の不具合が発生し、記憶力などの認知機能が低下します。複数の認知機能の低下が合わさった結果、健康な方には理解できない行動をしてしまう事があります。その行動は様々ですが「夜に眠らない」認知症の方は、どのような状態なのでしょうか?
眠らない理由は、多岐に渡ります。各個人の生活習慣や認知症の状態、身体的な病気の影響などそれらすべてを網羅して考える必要性が高く、一概には原因を特定出来ません。比較的多く見られる原因を今回の話題の中心とさせていただこうと思います。

眠らない代表的原因例

(1)夜だという認識が薄い

見当識障害により昼と夜の区別が曖昧になっている。

(2)体内時計がズレている

人間の体内時計は25時間周期と言われています。それを私たちは「あるきっかけ」を境にリセットし24時間に合わせていますが、そのきっかけを失う認知症の方は少なくありません。

(3)昼間に何もしないから疲れていない

シンプルな理由ですが、夜の睡眠は心身の疲労を回復させる手段です。日中に活動をしていない事で夜に眠る必要性が低くなってしまうのです。

ちょっとした工夫と対策

(1)夕方から徐々に部屋の明かりを落とす。

夜眠る準備をする環境を用意する事で、体に寝るためのサインを送ります。明るい部屋にいると、体のリズムを作る自律神経が活発に活動したままになります。そこで、夕食を食べた後あたりから部屋の電気を1段階暗くし、その後も段階的に部屋を暗くしていく事で睡眠を促す方法が考えられます。

(2)起床後に朝の日光を浴びる

起床後にすぐカーテンを開けましょう。それが、25時間の体内時計をリセットする「あるきっかけ」です。

(3)昼間に何か活動をする

心身の残された能力や、元々の習慣に左右されますが、「掃き掃除などの簡単な家事」「買い物に一緒に出掛ける」「散歩をする」などは認知症があっても比較的行いやすい活動です。

(4)元々寝る前にしていた習慣を一緒にしてみる

認知症の方が、寝る前にしていた習慣はありませんか?例えば「床について少し読書をしてから寝る」など、寝るためのきっかけになるかもしれません。

(5)薬物療法

単純ですが医師に相談し、睡眠導入剤や安定剤を処方していただくのも大切な手段の1つです。

(6)上記(1)~(5)を併用する。

冒頭でも申し上げましたが、認知症の方の行動の背景や原因は多岐に渡ります。

今回工夫と対策の代表例を提示させて頂きましたが、それらを組み合わせる事が重要です。
また、その他の工夫や対策も考えられます。組み合わせを考えながら、様々なアイディアを出し合う為にも、どうかご家族だけで悩まずに相談出来る相手を持って下さい。

おとしより相談センター(地域包括支援センター)なども、医療や介護のプロが在籍しており無料相談が可能です。知恵を出し合い、みなさんが今より少し楽で、少し幸せになれる工夫を地域で考えていければと思います。

認知症地域支援推進員は、電話相談。自宅訪問を行っています。
お気軽にお住いの地域を担当する推進員にご相談ください。

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